闇のプリンス ~ヴァンパイアと純血の戦士~
なんだか以心伝心みたいですごい。
考えてることが全てお見通しなのはちょっと困るけど、分かってもらえるのはなんか嬉しい。
「ヴァンパイアの肌は、特に首みたいな薄い粘膜は敏感なんだ。 突然あんなことされたら困る 」
そう真剣な表情で私の体を降ろすと、グイッと顔を近付けてきた。
そんなの知らなかった……顔近いよっ!
ルキアに足を乗せたままの状態で体を寄せられて、両足が少し上がった体勢になった。
ちょっと、近づきすぎだよ。
どんどんと迫ってくるルキアを、避けるように体を後ろへと倒していく。
これ以上倒したら、腕が耐えられなくて背中が地面に着いちゃうよ。
「悪い子にはお仕置きしなくちゃな 」
「えっ、何言って…… 」
またあの悪魔な顔になったルキアを見て、私の顔は真っ赤になった。
顔が近いてきて、私はドキドキしながら思わず目を閉じた。
唇奪われちゃうの?!
お仕置きだなんて、そんなのいやらしい言い方にしか聞こえない!
どうしよう、まだ心の準備がーっ!
「待って、待って」と、ジタバタと手振り足振りしていると、「ぷっ」と、吹き出した声が聞こえた。
「また始まった。いつもの妄想 」
そのルキアのニヤリとした表情で、私はサーッと我に返った。
そういえば、心読まれてるんだったーっ!
こんなんじゃ、恥ずかしすぎて何も考えられないじゃん!
でも妄想は勝手にされるもので、自分の意思では止められないのーっ!
顔を熱くさせながら、私は眉間にシワをよせて頬を膨らませた。