闇のプリンス ~ヴァンパイアと純血の戦士~
「あれ、触れてる 」
さっき、部外者は触れられないって言ってたのに。
不思議そうにルキアを見ると、彼は何も言わずに机まで足を運ぶと席に着いた。
「ルキアって、実はすごい人だったりするの? 」
隣に座ると、私は興味津々に彼を見た。
もしかして、ヴァンパイア界の王子様でしたなんて言うおとぎ話オチとか。
目を輝かせている私を見て、彼は呆れたようにため息を付いた。
「俺たちの中にはエドマンドの血が流れてる。 彼は、ヴァンパイアの中でも名の知れた濃い血を持つ者の1人だ。 王子とかくだらないこと妄想するな 」
だから本に触れる事が出来たんだ。
別に私は、ルキアが王子様じゃなくても全然良いんだよ。
そう思って彼を見ると、面倒そうな目で私を見た。
ルキアは本を開くと、ペラペラとページをめくり出した。
厚さも半端なく分厚くて、こんなんじゃ1日かかっても足りないんじゃないかってくらいの量だと思う。
私はその姿を見て腰を上げると、さっきの本棚へと戻り、恐る恐る本に手を伸ばした。
うわぁ、触れた……
背表紙に指が触れている。
隣同士ぎゅうぎゅうに詰まっている本を必死に取り出すと、ルキアの元へ足を急がせた。
真剣な眼差しでページをめくっている彼の前に持って来た本を置き、得意気な顔をして席に座った。