闇のプリンス ~ヴァンパイアと純血の戦士~

「それ、どうやった 」



突然話し掛けられて、私は驚いて思わず本を閉じた。



「なんとなく、さっきとは反対の手で触ってみたら偶然取れちゃって 」



そうニコッとして左手を顔の横で広げて見せた。



「取れちゃったって、そんな簡単な…… 」



ルキアはそう言いかけて、突然私の手首を掴むと動きを止めた。


少し血が滲んでいる指先を見て、彼は一瞬顔を歪めた。



「そういう事か……行くぞ 」



ルキアは強引に手を引くと、まだ私が読んでいる途中の書物を本棚へと返した。



「ちょっと、まだ全然読んでないのに…… 」


「あんな本を読んでどうする 」



グイグイと手を引かれながら、私たちは図書館を出た。


もしかして、怒ってる?


別にルキアをどうしようとかで見た訳じゃないけど。


ただ、何か役に立つかなと思っただけなんだけどな。



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