闇のプリンス ~ヴァンパイアと純血の戦士~
第三章
純血の戦士
「……ゅり 」
「……樹理っ! 」
ハッと目を見開くと、木の天井が目に入ってきて、私は目覚えのない場所にいた。
まだぼーっとしてる。
頭を押さえながら、私はベッドから足を下ろした。
「ようやく目が覚めたか 」
その聞き覚えのある年老いた声に、ふと顔を上げた。
目の前には、胸に何かを抱えたモーガンが立っていた。
えっと、何があったんだっけ。
よく思い出せない。
冴えない表情をしていると、奥からルキアが現れた。
「安心しろ。ここはモーガンの家だ 」
モーガンは笑みを浮かべて私に近付いて来た。
「魔女の村、メゲーテにようこそ 」
ここは、ヴァンパイアの街〝オリンゼア〟の隣に位置する魔女の村〝メゲーテ〟だ。
小さな村で、この場所には5、6人の魔女たちが身を潜めているらしい。
「この薬を飲みなさい。 ちょっと苦いが、水は飲まんように 」
そうピンクの液体が入った小瓶を渡された。
薬って、なんだか胡散臭そうな色してる。
不審な目でモーガンを見ると、優しい表情でゆっくりと頷く。
「これ、何の薬…… 」
口を開いた瞬間、突然小瓶が動き出して私の口の中に液体が流れ込んできた。