闇のプリンス ~ヴァンパイアと純血の戦士~
ゔぐ―っ!
吐き出そうとしても、口にチャックをされたように開ける事が出来ない。
苦い苦い苦いっ……!
目に涙を溜めながら、ようやく液体を飲み込む事が出来た。
でもまだ唇は上下くっついたままでビクともしない。
「ん……ん―っ! 」
口元を指差しながら、必死に訴えかける。
早く何か飲ませてっ!
「んんーっわぁっ! はあっ…… 」
ふと口が開き、声が飛び出した。
死ぬかと思った。
「ちょっと、一体何なの?! 」
「もう苦味は治まったじゃろ 」
そう言われてみれば確かに、あの喉がもげそうな味はなくなっていた。
「この薬はまともに飲もうとしても無理じゃ。 大抵の者は苦味と渇きで水を求める 」
そう話すと、モーガンは私とルキアを小さな木の椅子に座らせた。
「これはもう、何百年もの昔の話じゃ… 」
そうひっそりと話し始めると、机の上で両手を合わせた。
ゆっくりと離していく手のひらの中に、何か青い渦が現れて、綺麗な水晶玉が姿を現した。
それは眩しい輝きを放ち、私たちを七色の光で包み込んだ。