闇のプリンス ~ヴァンパイアと純血の戦士~


ゆっくりと息を吸って吐いていると、段々と荒い呼吸が収まってきて胸の熱が引いていった。


私は力なくルキアの腕へと倒れかかり、彼はそれを強く受け止めた。



「〝純血〟が蘇る時、それは新たな闇を生み出す時だと伝えられた。 封印が解け、再び闇が動き出すと…… 」



モーガンは私の左手を掴むと、水晶玉の上へと乗せた。


指の傷がゆっくりと消えていく。



「既に始まっておるのかもしれん 」



水晶玉から手を離すと、私は胸の前で自分の手を握った。



「でも、彼女は〝純血〟ではなかった 」


「あぁ、違った。 水晶は黒く濁らなかった 」


「ねぇ、意味が分からないんだけど。 さっきから何の話をしてるの? 」



私は不満げな表情で彼らを見た。


〝純血〟を持つと思われる者に、特殊な薬を飲ませる。


もしその者が〝純血〟でなければ、何も起こらない。


もしその者が〝純血〟だったのならば、それは赤く燃え尽きて死ぬであろう。



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