闇のプリンス ~ヴァンパイアと純血の戦士~

モーガンの言葉が、頭の中にナレーションとして入って来た。



「何それ……意味分かんない。 そんな危険なもの私に飲ませたの? なんでそんな事出来るの?! 」



私はルキアの腕を掴んで体を揺さぶった。


私の命より、村の平和の方が大切なんだ。


この人たちが、恐ろしいと感じてしまった。




「樹理が本に触れた時、もしかしてと思った。 もし樹里が純血なら、どの道させられる事には違いなかったから、そうなる前に俺たちで確かめたかった 」


「ここには解毒剤もあるからの 」


「じゃあ、それを確かめるたまに私を連れて来たってこと 」



私は机に肘を付いて頭を抱えた。


頭が混乱する。



「わしが迎えに行ったのじゃよ。予言では、今宵赤い月が現れる…… 」



そうカーテンを開けると、薄暗い空は闇へと変わり、ほのかな光が顔を出し始めた。


光は段々と色を変え、燃えるような赤へと変化した。


月が赤い……!



「とうとうこの日が来てしまったのじゃ。 奴等は必ず動き出す…… 」



私はゆっくりと顔を上げた。



「黒手団。 サバトという組織の中にある、悪のヴァンパイア集団 」


「その伝説にある、封印された吸血鬼じゃよ…… 」



封印が……解かれた?



< 172 / 224 >

この作品をシェア

pagetop