闇のプリンス ~ヴァンパイアと純血の戦士~
陰の黒手団
「目を開けて 」
ゆっくりと目を開けると、周りはさっきと一変した景色に包まれていた。
目の前には大きな門が立ちはだかり、そのまわりは神殿のように高く伸びた柱に囲まれ、塔のような建物が並んでいる。
その先には、ドラキュラ伯爵が住んでいるかのような城が立っているのが見えた。
ここにルキアがいるのね。
「くれぐれも、怪我には気を付けてね 」
そう忠告すると、ケイトは足早に前へ進み門を潜って行った。
私も慌てて彼の後を追った。
敷地内に足を踏み入れると、不気味なほど寒気がした。
今までにも感じたことのない、凍りついたような空気。
寒さとはまた違う感覚。
並べられた薄気味悪い銅像に気を取られながら、私は次の門を潜った。
「ここはどこなの? ルキアはどこにいるの? 」
ケイトの袖をグイグイと引っ張りながら、辺りをキョロキョロと見渡す。
「ここはシチリア島。 あれはカステル・ドンブロと言って、別名〝影の城〟とも呼ばれている 」
「カステル……ドンブロ? なんかお酒の名前みたい 」