闇のプリンス ~ヴァンパイアと純血の戦士~
「黒手団の住みか。 主にラソンブラ氏族が支配していて、闇の番人とも言われてる 」
「ラソン……? なんか、横文字いっぱいで覚えらんない。とにかく、悪い奴をやっつけに来たって事でいいんだよね? 」
「……かなり大雑把なまとめ方だけどね 」
よく分かんないけど、その黒手団って奴を倒せば終わるって事だよね。
魔女を襲った恐ろしきヴァンパイア。
そんな化物を倒すことなんて、ほんとに出来るのだろうか。
「樹里? 」
ふと後ろから声が聞こえた気がして、足を止めた。
振り返ると、そこにはきょとんとした表情でこっちを見ているルキアの姿があった。
「ケイト、お前…… 」
「ルキアっ! 」
私は思わず駆け出すと、勢いよくルキアの胸へと飛び込んだ。
何も考えてなかった。
これが本能ってやつなのかは分からないけど、気付いたら体が勝手に動いていた。
「会いたかった…… 」
「ごめん、言ったら絶対ついてくるって言うと思ったから 」
「言わなくても来たよ 」
そう体を離して、私は顔を見上げた。
私が笑みを浮かべると、無表情だったルキアの頬もやんわりと緩んだ。