闇のプリンス ~ヴァンパイアと純血の戦士~
でも、こんな素敵な町があったなんて知らなかった。
私は小嶺 樹里(こみね じゅり) 17歳。
わけあって今日、この地に引っ越してきたけれど、4月の終わりというかなり中途半端な時期に転校だなんて。
ちゃんと計画性を持って手続きしてもらいたいもんだよ、両親さん。
そんな事を思いながら、チラッと助手席を見る。
「あ、樹里のクラスは2年5組だからね! 椿(つばき)は……3年D組だったかな 」
お母さん、やっぱ適当だなぁ。
「樹里、物事は出だしが肝心だからね。ちゃんと自己紹介すんだよ。小嶺樹里17歳。身長158㎝、体重…… 」
「あー、もういいから! お姉ちゃんはしゃぎすぎ。 いつまでも子ども扱いしないでよっ 」
「子どもじゃん 」
いつも余計なお節介ばっかりするんだから。
ぷんっと右を向いて空を見上げる。