闇のプリンス ~ヴァンパイアと純血の戦士~

でも、こんな素敵な町があったなんて知らなかった。



私は小嶺 樹里(こみね じゅり) 17歳。


わけあって今日、この地に引っ越してきたけれど、4月の終わりというかなり中途半端な時期に転校だなんて。


ちゃんと計画性を持って手続きしてもらいたいもんだよ、両親さん。



そんな事を思いながら、チラッと助手席を見る。


「あ、樹里のクラスは2年5組だからね! 椿(つばき)は……3年D組だったかな 」


お母さん、やっぱ適当だなぁ。


「樹里、物事は出だしが肝心だからね。ちゃんと自己紹介すんだよ。小嶺樹里17歳。身長158㎝、体重…… 」


「あー、もういいから! お姉ちゃんはしゃぎすぎ。 いつまでも子ども扱いしないでよっ 」


「子どもじゃん 」


いつも余計なお節介ばっかりするんだから。


ぷんっと右を向いて空を見上げる。



< 2 / 224 >

この作品をシェア

pagetop