闇のプリンス ~ヴァンパイアと純血の戦士~
「これはこれは、クリスティン家のルキアじゃないか。 久しぶりだな 」
「キュラド伯爵、お久しぶりです 」
そう神妙な面持ちで呟くと、ルキアは軽く頭を下げた。
その風貌とルキアの口調から、地位が高い人物なのだとすぐに認識出来た。
キュラド伯爵と呼ばれる人物は、ただならぬオーラに包まれており、その鋭く赤い瞳と尖った耳はまるで悪魔のように見えた。
「ほう、その隣りの者は......? 」
伯爵の鋭い視線が私を捕らえた。
思わずビクリと体が反応すると、ルキアの腕をギュッと掴んだ。
「あなたが喉から手が出るほど欲しがっている人間ですよ 」
その言葉を聞いて、私の顔色は一気に青ざめた。
まさか、この吸血鬼に私を引き渡すなんて事はしないよね?
ここに来て、嫌な胸騒ぎが強くなるばかりだった。