闇のプリンス ~ヴァンパイアと純血の戦士~
「お前、無礼な真似はよせ 」
ライアーという少年が、ルキアに向けて手のひらを突き出した。
その右手のひらには、黒い三日月のタトゥーが施されていた。
「これでもまだ逆らうのか? 」
三日月のタトゥーは、黒手団の証として右手のひらに刻まれているらしい。
この人も同族喰らいのヴァンパイアなら、力も強いだろうしやっぱり無茶だよ。
「黒手団だろうが伯爵だろうが俺には関係ない。 魔界の未来のために、戦うだけだ 」
瞳がゴールドに輝き、耳がピクンと尖った。
「血族思いで何よりだな。 これだからお前らの氏族は……後で後悔するがいい 」
キュラド伯爵は高笑いをすると、瞬時にルキアの横に立ち首筋に牙を突き刺した。
「うっ…… 」
ルキアは素早く交わしたが、既に遅く生々しい血が首を伝っていた。