闇のプリンス ~ヴァンパイアと純血の戦士~

「お前、無礼な真似はよせ 」



ライアーという少年が、ルキアに向けて手のひらを突き出した。


その右手のひらには、黒い三日月のタトゥーが施されていた。




「これでもまだ逆らうのか? 」



三日月のタトゥーは、黒手団の証として右手のひらに刻まれているらしい。


この人も同族喰らいのヴァンパイアなら、力も強いだろうしやっぱり無茶だよ。



「黒手団だろうが伯爵だろうが俺には関係ない。 魔界の未来のために、戦うだけだ 」



瞳がゴールドに輝き、耳がピクンと尖った。



「血族思いで何よりだな。 これだからお前らの氏族は……後で後悔するがいい 」



キュラド伯爵は高笑いをすると、瞬時にルキアの横に立ち首筋に牙を突き刺した。



「うっ…… 」



ルキアは素早く交わしたが、既に遅く生々しい血が首を伝っていた。


< 203 / 224 >

この作品をシェア

pagetop