闇のプリンス ~ヴァンパイアと純血の戦士~
「キュラド様、そろそろ例のあれを…… 」
ライアーはキュラド伯爵にこそこそと耳打ちをすると、ちらりとこちらを見ながらニヤりと笑った。
「ああ、そうであったな 」
キュラド伯爵も嘲笑うかのような表情でこちらを見た。
何かを企んでいるような表情に足がすくんだ。
「諸君よ、茶番は終わりだ 」
その冷酷な作られた笑みが脳裏に焼き付く。
「お前らの好きにはさせない。 覚悟しろ 」
「覚悟するのはお前の方だ 」
ライアーはクスッと笑うと、後ろの台に置かれていた黒い布を持ち出した。
キュラド伯爵はそれを受け取ると、ゆっくりと布を開き中身を取り出した。
ドクン__
「これは遥か昔から封印されている王者の剣 」
急に胸が苦しくなってきて、だんだんと鼓動が早くなっていく。
なんか息苦しい。
「樹里……? 」