闇のプリンス ~ヴァンパイアと純血の戦士~
「この剣で刺された者は死に至る。 ただし、これを扱える者はただ1人だけ 」
ドクンッドクンッと一層鼓動が高まっていく。
「いやぁーっ! 」
私は頭を抱えながら奇声を上げた。
胸が焼けるように、今にでも張り裂けそうだ。
私はまるで、狂った獣のように頭を降った。
「どうした…… 」
心配そうにするルキアの腕を振り払うと、私は拙い足で一歩一歩前へと進む。
体が勝手に、忌々しく微笑むキュラド伯爵へと向かっていた。
「彼女に何をした 」
「何もしてはいない。 彼女は自分の意思で動いているのだ 」
自分の意思なんかじゃ……やめて、腕が……
操られているかのようにキュラド伯爵の持つ剣を奪うと、私の視線はゆっくりとルキアの姿をとらえた。
「樹里……? 」
誰か私を止めて!
今から何をしようとしているのか、なんとなく分かった。
自分の行動に予想という言葉はおかしいかもしれないけど、これから自分がしようとしているのは……