闇のプリンス ~ヴァンパイアと純血の戦士~
小刻みに震える手には、しっかりと剣が握りしめられている。
荒々しい呼吸が、徐々に穏やかになっていくのが分かった。
「その剣の持ち主は、かつて女神と呼ばれた者。 これはその女神の体の一部から生まれたと言われている 」
「我々ヴァンパイアを封印した恐るべし女。またの名を…… 」
「ルビ…… 」
魂がその剣に吸い込まれたように、私はその名を口にした。
乗り移られたというより、記憶が蘇ったと言った方が近いかもしれない。
「これは私の分身。 この剣には、何百もの悪の血が流れている。 呪いの血を浴びる者は、死に値する 」
そう告げるとキュラド伯爵に剣の先を向けた。
「何百年ぶりだろう。 まさかまたこうして会うことになるとは思いもしなかった 」
キュラド伯爵はそう高笑いを上げた。
「お陰で長い間体を休める事が出来た。 礼でも言っておこうか 」
思い出した。