闇のプリンス ~ヴァンパイアと純血の戦士~

私はかつて、様々な場所を放浪しながら正義を守っていた。


あの時も、私はこの剣を彼等に振りかざした。


あの悪のヴァンパイア集団を封じたのは私だ。


私があの純血の戦士だった。



「昔は伝説の戦士だったかもしれないが、今は違う 」


「魔界の者は皆お前を恐れている。 早く始末したいと思っているそうだ 」



ライアーはそう笑って唇を触った。



「私は彼女たちを守るために戦った。 なのに、始末とはどうして…… 」



ふと脳裏にモーガンの言葉が蘇った。



〝純血〟が蘇る時、それは新たな闇を生み出す時だと伝えられた。 封印が解け、再び闇が動き出すと……



「純血の戦士はヴァンパイアを封印すると共に、ある呪い(まじない)を掛けたと言われている 」



呆然と立っていたルキアが、小さく口を開いた。


私はその声に耳を傾けた。



「自分の命が滅び、再び蘇るまで封印が溶けないように 」



それって、どういう意味……



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