闇のプリンス ~ヴァンパイアと純血の戦士~
「人間(お前)として新たな命を与えられ、この地に足を踏み入れた瞬間に、我々の長い眠りは覚まされたのだ 」
大きく笑い声を上げると、キュラド伯爵はじっと私を見た。
「純血の戦士の息の根を止めなければ、我々黒手団を倒すことは出来ないという事だ 」
そんなことって、ルキア……
そんな瞳で私を見ないで。
哀れむような、切ない表情をしないで。
考えている事が何となく分かってしまう。
「大丈夫、私がこの手で…… 」
他にも方法があるはず。
これでひと突きに刺せば、彼等を倒すことが出来るかもしれない。
キッと伯爵を睨み付け、素早く近寄ると剣の先を首元に突きつけた。
「おいおい、早まるな。 今や我々は仲間も同然。 闘う相手が違うだろう 」
そうニヤリとして視線をずらした。
キュラド伯爵はゆっくりと手を上げると、手のひらを見せた。
「お前を消したがっているのはあいつだ 」
ふとルキアに視線を送ると、伏せ目がちな表情でただ立ち尽くしている。
「私はあんたの仲間なんかじゃない。 それに、ルキアはそんな事しない……よね 」