闇のプリンス ~ヴァンパイアと純血の戦士~

けれど、彼は何も答えてくれなかった。


お願いだから、何か言ってよ。



「「純血の戦士なんて関係ない」」


「「俺がお前を守る」」



彼のそんな言葉を期待していたのかもしれない。



「…… 」



ルキアは頭を抑えて眉間にシワを寄せた。


何でなにも言ってくれないの。


これじゃあまるで、本当に私を消そうとしてるみたいじゃない。



「何を迷っている 」



すると、上の方から誰かの声が聞こえてきた。



コウモリが2匹、宙を舞いながら降りて来て、素早く人間の姿へと変わった。


エドマンドとケイトだ。



「ケイト、無事だったの…… 」


「私が助けた 」



エドマンドは、初めて会った時のように無表情で私の前を通り過ぎた。


「まさか君が、あの伝説の女神だったとはね 」



ケイトの口調が刺々しく感じた。



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