闇のプリンス ~ヴァンパイアと純血の戦士~
それは私の心に冷たく響いた。
ついさっきまで、同じ目的で共に歩いて来ていたのに、こんなにもあっけなく崩れてしまうんだね。
「人間に心を動かされた結果がこの様だ。 やはり、怪物と人間の共存などありえないのさ。 例え純血の戦士が君だったとしても、手加減するつもりはない 」
彼らにとって、私はもう敵でしかないんだ。
「ヴァンパイアは心などない。 もちろん、情けも同じだ 」
エドマンドはそう呟くと、私と向かい合わせに立った。
手の平を宙に向けると、青白い光が稲妻のように現れた。
「悪く思わないでくれ。 私たち、魔界のためだ 」
それは大きな渦を放ちながら、ゆっくりと私の瞳の奥を見た。
「エドマンド、待てよ 」
ルキアが彼の肩を掴むと、神妙な面持ちで言葉を掛けた。
「…… 」
いじめを止めてくれたり、傍にいてくれたり、つらい時にいつも近くにいてくれたのは彼らだった。
あの日々が、幻だったかのように思い出される。
私の中で、胸の奥から何かがみなぎるように物凄く熱い物が溢れ出した。