闇のプリンス ~ヴァンパイアと純血の戦士~
その力は体の回りに結界を張り、エドマンドの稲妻を弾き飛ばした。
「エドマンド! 」
その反動で彼の体は壁の向こうへ吹き飛ばされた。
「樹里ちゃん…… 」
ケイトは今までに見せたことのないような、鋭い目付きで私を見た。
「ごめんなさい。体が勝手に…… 」
自分でも、どこからこの力が湧き出て来ているのか分からない。
「さすが伝説の戦士だ。 素晴らしい 」
キュラド伯爵は重い腰を椅子から上げると、パチパチと手を合わせた。
「さあ、とどめを指すんだ 」
ふと視線を戻すと、前から大きな青い稲妻が私に向かって迫っていた。
強い衝撃と共に、何かに包まれたような温かさが私の体を覆った。
「うぐっ…… 」
気付くと私はルキアの腕にすっぽりと抱きしめられていた。
「ルキア! 」
「どうして…… 」
ケイトの声が耳に入り、そのまま私たちは床へと崩れた。
「なんでこんな事に…… 」
私は傷だらけの彼を前に、手を掴んでそう呟く事しか出来なかった。
何か言葉を探しても見つからない。