闇のプリンス ~ヴァンパイアと純血の戦士~
「私の攻撃をまともに受けたら、お前でも耐えられない……そんな事は分かっていたはずだ 」
「なぜ助けた…… 」
ケイトはゆっくりと近寄ると、眉を潜めて「ワラカナイ」と言うような顔でルキアを見た。
「気付いたら、抱き締めてた…… 」
そうふっと笑みを浮かべると、赤く染まった手でそっと私の頬に触れた。
「初めて、誰かを守りたいって……思った 」
「いや、ルキア死んじゃイヤだよ……私はどうしたらいいの? 何も出来ない…… 」
瞳から大粒の涙が溢れ出し、ルキアの体にしがみついた。
「樹里! 」
どこからかモーガンとダークの声が聞こえ、彼らが側へと駆けつけてきた。
「一体何があったんだ…… 」
事態が把握出来ないようで、この状況に戸惑っている様子だった。
私のせいで、ルキアが死んじゃう。
その時、胸元に下がっている水晶の形をしたネックレスが虹色に輝いた。
私はそっと体を起こし、首からそれを外すと、小さな蓋を取った。
「君それは…… 」
ケイトの戸惑った声が横から聞こえてきた。
「これが必要になったのは、ルキアの方だったね 」