闇のプリンス ~ヴァンパイアと純血の戦士~
「昨日はなかったよね。 転校生でも来るのかな 」
「何言ってるの? だって、ルキアの…… 」
それでも優希の反応はイマイチで、眉間にシワを寄せていた。
不思議そうに首を傾げる優希の後に、続ける言葉が見つからなかった。
冗談を言っているようには見えなかった。
「やだー、小嶺さんってば幽霊でも見えてたんじゃないの? 」
ふんと鼻で笑いながら、嫌味っぽく芦屋が横を通り過ぎていった。
みんな彼の存在を忘れてしまったの?
私が純血の戦士だと分かったから、姿を消してしまったの?
もう必要無くなったから、いなくなったの?
私は教室を飛び出すと、前から廊下を歩いて来る三上先生の腕を勢いよく掴んだ。
「みんなに何したの? もう、彼とは会えないの? 知ってるんでしょ?! 教えてよモーガン…… 」
息を切らしながら、一気に溜めた言葉を吐き出した。
三上先生は驚いた目でこっちを見ると、私の手をそっと下ろした。
「モーガン? やーね、いつから私は外国人になったのよ。 さあ、教室に戻って 」
呆れたように落ち着いた口調で笑みを浮かべると、三上先生は私の横を通り過ぎて行った。