闇のプリンス ~ヴァンパイアと純血の戦士~
私はそれ以降、彼について尋ねる事はなかった。
学校からは彼だけではなく、一家全員が姿を消していた。
もちろん彼らを語る人は誰もいなかった。
あの屋敷へ続く細い道も、今ではただの草原となっている。
家ごとどこかへ引っ越してしまったのだろうか。
月日が経ち、2年生も後期を迎え、白い季節か訪れる頃となった。
「いってらっしゃい、気をつけてね 」
私はお姉ちゃんに見送られて、目をウトウトさせながら、はちみつパンを加えて学校へ向かう。
あっという間に時は過ぎて、まだ心だけ置き去りになったままの気分。
今でも、あの出来事は夢だったのではないのかと思う事がある。