闇のプリンス ~ヴァンパイアと純血の戦士~
窓ガラス越しに綺麗な青空が見える。
雲ひとつない快晴。
窓を開けると、涼しい風が入って来た。
「気持ちいいーっ! ん、何あれ? 」
ふと視線の先にある建物が目についた。
青々と茂る木々の中に、チラチラと見え隠れする白い家。
あんな木のなかに何の建物だろう。
「このデコボコ道を抜けたら、あとちょっとで着くからな 」
「ちょっとって、どれくらい? 」
お姉ちゃんは携帯を片手に、お母さんからチロルチョコを貰う。
「うーん、そうだな。 5分いや、8分くらいかな 」
「お父さん、それ全然ちょっとじゃない 」
「ねーっ」とお母さんと声を揃えてチョコレートを頬張る。
私もひとつ貰うと、そのチョコを舌の上で転がした。
甘いような、ほろ苦いビター味。