闇のプリンス ~ヴァンパイアと純血の戦士~

学校へ着き、教室の前へ来ると、何かザワザワとした雰囲気が漂っていた。


私の席あたりに人が集まっている。


人をかき分けて席へ行くと、机の上に白い花が置かれていた。


いつもロッカーの上に飾ってある百合の花だ。



「こんな事されたら泣いちゃうよね 」



後ろの方でそんな呟きが聞こえてきた。


こんな幼稚な事をする奴の検討はつく。


私は花瓶を後ろへ戻すと、何事もなかったように席に着いた。



「あれ、小嶺さん生きてたんだ。 襲われて死んじゃったかと思った 」



そう薄ら笑いを浮かべながら、彼女はその憎らしい綺麗な厚化粧の顔を私に見せた。



芦屋奏!



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