闇のプリンス ~ヴァンパイアと純血の戦士~

芦屋は満足そうな表情で、腕を組んで立っていた。



「それは残念だったね 」



私は何食わぬ顔で反論した。


その態度が気に入らなかったのか、彼女は勢いよく私の机に手をついた。



すごい音がして、一瞬教室が静まり返った。



私も驚いた顔をして彼女を見た。


びっくりした。

顔が般若みたい。



「あんた、バカにしてんの? 」


「そっちこそ。もういい加減にしてよ 」


「マジでムカつく! 」



その時、芦屋の長い爪が私の口元を切りつけた。



「痛った…… 」



衝撃の後に、ヒリヒリとした痛みが伝わってくる。


そっと指で触れると、じわっと指先に血が付いた。


芦屋たちは動揺した様子で教室を出て行った。



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