闇のプリンス ~ヴァンパイアと純血の戦士~
「そうだったかも。 あの話には続きがあって、村人以外のよそ者が来ると、新たな血を嗅ぎ付けてその深い眠りから目を覚まし、獣は村へ狩に降りて来るんだって 」
優希は声色を低くして、おどけてみせた。
私は一瞬固まって、再び箸を動かした。
あほらしい。
「今アホらしって思ったでしょ 」
「なんで分かったの? 」
「顔見れば分かるわ 」
優希は少しふてくされた顔でヨーグルトを口に含んだ。
「だいたい、獣って何? 」
キャベツにタルタルソースをかけ、箸で絡ませる。
「知らない。 でも今回の連続殺人、そいつの仕業って話もあるみたいだよ。 親が喋ってるの聞こえた 」
確かに変な事件だけどさ。
私は黙ってキャベツを頬張る。
「私も信じてるわけじゃないけどさ、あんな事件が続くと……ちょっとね 」
「まあね 」
とにかく、私たちは早く事件が解決してくれる事を祈るしかなかった。