闇のプリンス ~ヴァンパイアと純血の戦士~

それからしばらくして、その事件が同一犯ではないというニュースが流れた。


犯行時間や場所などから、複数犯の可能性があると推測されるが捜査は難行してるらしい。



休日の昼下がり。


私はキッチンのオーブンを開け、焼けたシフォンケーキを取り出した。


ホイップしておいた生クリームを皿の隅に乗せると、テーブルに運んだ。


ソファーでぐったりしているお姉ちゃんに声を掛けた。



「何かあったの? 」


「ちょっとねー 」



お姉ちゃんはソファーから体を起こすと、頭をぐしゃぐしゃと触りながらダイニングテーブルの前に座った。



「よそ者が来たせいで、獣の血を目覚めさせた 」


「えっ? 」


「クラスの人が喋ってるの聞こえた 」



その噂は、うちの学校だけじゃなかったんだ。


私は静かにシフォンケーキを頬張ると、ゆっくりと口を動かした。


お姉ちゃんが通う高校でも、いろんな説が広まってるみたい。


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