闇のプリンス ~ヴァンパイアと純血の戦士~
警戒しながらそっと玄関のドアを開けると、1人の男の子が立っていた。
ふんわりとした暗い茶髪で、凛々しい目をした顔立ち。
この人、どこかで見た事あるような……
「ダークだよ。 覚えてない? 」
彼はそう言って笑みを浮かべた。
この前、森の前で倒れてた人だ!
「もちろん覚えてるよ。足は大丈夫なの? 」
「おかげさまでこの通り 」
そう足を動かして、ズボンを上げると傷は跡形もなく消え去っていた。
あんなにひどい怪我だったのに、驚異の回復力。
呆然とその足を見ていると、彼はすぐにズボンを下ろした。
「樹里にお礼が言いたくて。手、出して? 」
私は言われるままに、彼の前に手の平を差し出した。