闇のプリンス ~ヴァンパイアと純血の戦士~
突然腕を引っ張られ、彼の胸に引き寄せられた。
頭が真っ白になって、心臓の音が聞こえちゃうくらいうるさく響いてくる。
「このままじっとして 」
この状況にまだ頭がついていかなくて、言われた通り私はそのまま動かずにいた。
私は彼の背中にそっと手を添えた。
思ったより広い背中で、胸に埋まる顔が熱くなっていく。
こんなことされたら、意識するなっていう方が無理だよ。
「お前は誰だ。 そこにいるのは分かってるんだぞ 」
何を言い出したのか分からなくて、彼の腕の中で身動きが取れない私は、ただギュッとしがみつく事しか出来ない。
すると、後ろからこちらへ向かってくる足音が聞こえてきた。
「キミは…... 」