闇のプリンス ~ヴァンパイアと純血の戦士~

一瞬、彼女の彼を見る目が切なく感じた。


少女はそのまま何も言わず木々の中へと消えて行った。



私は腕を掴んでいる手を動かしながらルキアを見た。


彼は少し戸惑った顔をした。



「彼女はリンダ=レイラーと言って、この前出会った子だ。 うちとは昔から犬猿の仲の部族だ 」


「部族...... 」



聞き慣れない言葉に、首を傾げた。




「民族みたいな意味合いだよ。 先祖代々から仲が悪い 」



でも、さっきのルキアを見るあの子の目、とても気になった。


あれは、きっと……



「中に入って 」



私は言われるままに、前へ足を進めた。



< 91 / 224 >

この作品をシェア

pagetop