闇のプリンス ~ヴァンパイアと純血の戦士~
一瞬、彼女の彼を見る目が切なく感じた。
少女はそのまま何も言わず木々の中へと消えて行った。
私は腕を掴んでいる手を動かしながらルキアを見た。
彼は少し戸惑った顔をした。
「彼女はリンダ=レイラーと言って、この前出会った子だ。 うちとは昔から犬猿の仲の部族だ 」
「部族...... 」
聞き慣れない言葉に、首を傾げた。
「民族みたいな意味合いだよ。 先祖代々から仲が悪い 」
でも、さっきのルキアを見るあの子の目、とても気になった。
あれは、きっと……
「中に入って 」
私は言われるままに、前へ足を進めた。