闇のプリンス ~ヴァンパイアと純血の戦士~
な、何を言うかと思ったら、コイツおかしいんじゃないの?
私は真っ赤な顔をして、少し体を引き気味にルキアを見た。
「きたねーな 」
ルキアは呆れた顔で私を見ると、置いてあるティッシュを何枚か取り、私のスカートに手を伸ばした。
「ちょっ! 」
濡れたスカートを拭き出すと、太ももの上からルキアの手の感触が伝わってきた。
「じ、自分で拭くからっ! ヘンタイっ! 」
ルキアの手を掴むと、素早く自分のハンカチで足を拭いた。
彼に背を向けて、少し濡れたスカートをハタハタとなびかせた。
その光景を見ながら、ルキアはため息を付いて頬杖をついた。
「あんたみたいな人間、初めて 」
「何その言い方。 なんとでも言えばいいわよ 」
私は熱い頬を冷ますように、スカートを揺らして風を作った。
「変なヤツ 」
そう呟く彼をチラッと見ると、ルキアはフッと笑みを浮かべた。
なんだ、冷徹そうに見えたけど笑えるんだ。
初めて見せた彼の微笑みに、少しだけキュンとしてしまった。
しばらくして立ち上がると、私は座っている彼を見下ろした。
「どうした?」とでも言うように、ルキアは首を傾げて見つめ返してきた。
私はそっと鞄を肩に持つと、一目散に玄関へと走った。