Forever*きみとの未来
医師はイズミの左手をとり、包帯を巻き取り始めた


「痛みは感じませんか」


「はい」


満面の笑みの母親と、じっと手元を見つめるイズミ


ジュンダイは、じっと三人の様子を眺めていた


「傷も綺麗にふさがっていますね…ただ…」


と、首を傾げる医師


「薬指に…圧迫された跡…でしょうかねぇ…」


イズミの薬指には、くっきりと一本の線がついていた


イズミは「カケルゥゥ…」
声をあげて泣いた


そう、あの日…


車内で手を繋いでいた二人

車が横転する瞬間だろうか

カケルはイズミの手を強くにぎりしめたのだろう


イズミの薬指にはくっきりとカケルがにぎりしめた跡が一本の線となり残っていた


まるで…


それはリングのように
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