月の満ち欠け 巡る星々【詩】

*ぼくのねこ

【ぼくのねこ】


キラキラした目がぼくを見上げている

 小さく鳴いて

 ぼくの手にある食べ物をじっと見ている

ビー玉のような綺麗な瞳は食べ物だけを映している

 ぼくを見て ぼくを見て

そっちじゃないよ

 気を惹こうとするけれど

ぼくのねこは
 手にある食べ物から目を離さない


まったくもってやるせない

 ぼくは呆れてその食べ物を手放した

ねこはさっさと食べ終わり

 どこかに行ってしまったさ


どうせどうせと腹立たしげに
 去った小さな影に溜息ひとつ



それでもぼくは きっと呼ぶ


 あのビー玉のような瞳が見たくて

 可愛くねだる仕草を求め

こっちを見てと気を惹いて



 その鳴き声をねだるのだ




2020/06/08
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