奪い合い
「さぁ!!ここからがショータイムよ!」
邦華の部屋で陽子の声がこだました。
その声よりはるかに大きな声で、半透明の体たちは叫んだ。
「どけ!!俺のもんだ!!!」
「わたしが頂くわ!!」
「あたしに逆らわないで!!」
邦華の体にたくさんの手が触れている。
ここにいる半透明の体たちは、全員邦華の体目当てできていたのだ。
「わたしのもの…!!」
そう高い声が聞こえたかと思うと、邦華の体は寝息をたてはじめた。
「チッ…とられっちまったぜ……
まぁいいか、こっちでも」
邦華の半透明の体をつまみ、口にいれようとする。
「おい!一人じめすんな!!
その年代の魂が一番うめぇんだぞ!!」
そうだそうだ、と色々なところから聞こえた。
「…ったく、しょうがねぇ」