花よりも美しく
咲かない花はない
放課後の茜色に染まる教室で、月子は黙って座ったまま、動こうとしない
「月子ちゃん?帰らないの?」
「・・・・・・・・・・・・うん」
心ここに在らず、という感じで、月子は真子の問いに答える
「・・・どうかしたの?」
「・・・・・・ううん。なんでもない」
気持ちを切り替えるように、月子は勢いよく立ち上がった
「帰ろ、真子ちゃん」
「え、えぇ・・・」
無理して笑う月子に、真子も戸惑いながら、笑い返した