花よりも美しく


触れるたび、無垢な花弁が散るようで

触れたあとに苦しくなる

無垢な花には不釣り合いな棘が、苦しくさせる


「なら、私が優しい笑いかたを教えてあげるわ」

「優しい笑いかた、ですか・・・?」

「そう。とっても簡単なのよ」


茅子は優しく笑うと、忍に花瓶を渡した


「あ、あの・・・」

「花に笑いかけるように、月子に笑ってあげればいいのよ」

「花に、ですか?」

「そう。簡単でしょう?」


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