花よりも美しく
京で実る淡い花の蕾


文字通り、それはつれ回すということだった

忍のスケジュールは、驚く程詰まっていて、休憩など挟む暇もない


(私、ついてこない方が、よかったんじゃ・・・)


洋服に着替えた月子は、忙しそうな忍の横顔を見つめながら、そんなことを思った

声をかけることすら、申し訳なく思えて、月子は忍を見ていることしかできない


「どうかしたのか?」

「い、いえ。忙しそうだなぁ、と思って・・・」


急にこちらを見た忍に、月子の声が高くなる


< 184 / 361 >

この作品をシェア

pagetop