花よりも美しく
光に照らされて、栞が手にするハサミの刃が光る
───ザクッ
「あ・・・ッ」
切られた着物は、淡い梅色
「私にはもう、忍様のことを語ることも、奪う資格もない。何より、あの方は私を見ていない」
ザクッ、ザクッ
休むことなく、着物にハサミが入れられる
「・・・・・・・・・一度だけでも、見てほしかったのに・・・」
「栞、さん・・・?」
「・・・・・・ごめんなさい。この着物は、私が買い取るわ。本当に・・・ごめんなさい」