花よりも美しく
彼女は少女だ
紛れもない、少女そのもの
父の側で笑い、母の側で泣く
そんな当たり前の日々を、彼女は自分の側で失っている
「・・・・・・・・・ごめん。ごめん・・・・・・」
袖を掴んだ手を握り締め、忍は微かな声で謝罪を繰り返す
その言葉に、どれ程の意味がある?
その苦しみに、どれ程の価値がある?
彼女の涙に比べれば、意味も価値もありはしない
「・・・・・・月子・・・。僕はどうすれば、君に安らぎを与えられるだろう・・・?」