花よりも美しく
「人の顔をまじまじと見るのは、失礼だと思わないのか。前にも言ったはずだが?」
「す、すみません・・・」
すぐに目を逸らして、月子はうつむく
廊下の木目が目に入り、それだけを見ていた
「・・・なんの花が好きだ?」
「え・・・?」
顔を上げたが、月子はすぐにうつむいてしまった
「どの花が好きか聞いたんだ」
「・・・・・・梅の花が、一番好きです」
「そうか。・・・僕も、梅の花は好きな方だ」