花よりも美しく


理由が、なくなった


喜ぶべきなのに、心は複雑そうに苦い顔


「・・・・・・お前の好きにするといい。お父さんは、お前の答えを受け入れるよ。どんな答えでも」


部屋を出ていく父の背中は、病室で見つめた背中より、真っ直ぐだった


「・・・・・・・・・自由に、なれる?」


縛られることはない

結婚にも、夫婦にも、園村の家にも

灯った自由の明かりに、月子は目を逸らし、ただうつむいた




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