花よりも美しく


「それに、一番大切なことを貴方は忘れてる。・・・あの子は、愛でられるだけの花ではないわ」

「・・・・・・・・・・・・」


麗子の言葉に何も言えなくて、忍はうつむいてしまう


「ちゃんと向かい合わなきゃ、見えないものもあると思うわ」

「そう、だな・・・」


躊躇いながらも、忍は頷く


「もう、帰るよ。・・・今度、辰彦の墓参りにでも、行かせてくれ」

「彼も喜ぶわ、ありがとう」


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