花よりも美しく


声を荒げて、震える声を誤魔化す


「貴方は私の姉と結婚するはずだった!この結婚は、間違いだったんです」

「それでも、僕は君を愛した。それだけじゃ、君と夫婦でいる理由にはならないのか?」


月子の顔を覗き込めば、涙で指が濡れた


「月子・・・」

「今私がいる場所は、私の場所じゃない。・・・私がいなくなれば、貴方はちゃんと、自分の本当に大切な人を見つけられます」


顔を上げた月子と、目があう

涙で濡れた瞳に、忍の顔が映っている


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