花よりも美しく


でもそれは、誰もが知っていいことじゃないはず

月子は、簡単に話す理生から視線を逸らす


「ここは、その忍の母親が忍と暮らしてた場所。墓も見たろ?」

「・・・・・・・・・・・・」


鮮やかな黄色が、悲しい色に見えた

自分が泣く立場にないことを知っているが、涙が溢れた


「優しいね、義姉さんは。あんな夫のために泣くなんて」

「・・・・・・なん、ですか?」


手を掴まれて、月子が顔を上げる


「慰めてあげようか?」


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