ひかり
気づくと美羽の家にあたしがいた。
死んでいなかった。
生きていた。

夢も見た。
お父さんに捨てられたあの日の・・・。
「なんで夏恋は生まれてきたんだろうな」
心に突き刺さってそれ以上いえなかった愛する父の最後の言葉。
生きていることすら否定されたあの日。
「死ね」っていわれた気がした。
そして今も・・・死ねって思われてる。
あたし、本当に生きてて良かったの?
・・・・美羽。

 「いじめられてたんだな。気づいてやれなくてゴメンな。家族なのに。」
美羽のお兄ちゃんがあたしのために涙をながしている。
 「そんな・・・」
それ以上言葉が出なかった。
 「いじめって苦しいだろ?苦しめられるだろ?俺、夏恋を守ってやりたかった。」
あたしも泣いた。
2人で泣いた。
お互いのぬくもりを感じた。
美羽のお兄ちゃん・・・遥は温かかった。
久しぶりに感じた、家族のぬくもり。

 「あたし生きるから。美羽のためにも遥のためにも。」
それだけを心に刻み歩き続けることを誓った。
ありがとう美羽。
ありがとう遥。
2人がいるからあたしは生きていくよ。
こんな腐ったあたしを受け入れてくれたから・・・
どんな2人でも受け止めるよ。
大好き。
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