ひかり
どんなことがあってもあたしは美羽との関係で不安になることはなかった。
あたしと美羽にはかけがえのない絆があるから。
美羽の全てを受け止められるから。

学校にいると必ず時田に会いたくなってしまう。
時田はあたしを2番目に分かってくれた人だからかなあ・・・
 「時田っ!」
帰り道にベンチに座っている時田の横にちょこんと座った。
時田は読んでいた本を置きあたしのほうをむく。
 「夏恋は好きな奴いんの?」
急に聞かれてあたしは戸惑った。
なに?いきなり・・・
本当に本当に困ってしまって声が出なかった。
 「いきなりそんなこと言われても・・・」
あたしは下をむいた。
 「だよな。」
それ以上言葉はなかった。
あたしは、恋なんて・・・。
でも、好きになるとしたら誰なのだろうか。
そう考えたとき浮かんだ顔・・・・遥。
家族だけど大好き。
あたしは遥の事が好き?
そんなわけないよね・・・。
 「時田はいるの?」
あたしに言葉に悲しい笑顔を見せる時田。
 「いるよ。めっちゃ大事な女の子なんだ。」
時田の幸せそうな顔は美羽のときと同じくらい嬉しかった。
好きな人いるんだあ。
 「付き合ってるの?」
 「うん・・・」


この瞬間からあたしはあなたを恋愛対象として見なくなった。
線を引いてしまったの。
好きになっても意味ないし、好きじゃなかったから・・・
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