ひかり
時田との距離を縮めようとしはじめる頃、
あたしと遥との関係に距離ができた。
しょっちゅう行っていた病院にも行かなくなり、ひたすら勉強していた。
悪いなって気持ちもあったけれど、時田に追いつきたいって気持ちには叶わなかった。
毎日麻那ちゃんはあたしを病院に誘ってくれるが、「受験生だから」と言っていた。
 「終わったあ。」
今日は英語のワークをノルマ以上こなした。
大きな達成感に包まれて携帯をいじりはじめる。
真っ先にメールをしたのは時田。

   時田の事名前で呼びたい!

それだけを送って携帯を枕の下に入れた。
どんな返事がくるのかドキドキしていた。
無理って言われたときのための返事を作って未送信ボックスに保存した。
それからオシャレ雑誌を見ながら待っていた。
でも・・・メールのことばかり考えてしまう。

~♪♪♪
着信音がかすかに聞こえて枕から取り出した。
未送信ボックスの中のメールを確認してから深呼吸してメールを開いた。

   別に良いけど・・・。俺は名前で呼んでるし。でも照れるしょ?

あたしは布団にくるまって足をバタバタさせた。
 「よかったあああああ!」
嬉しくて胸がもっと高鳴った。
急いでメールを作り直した。

   風真ありがと!明日からよろしく!照れるけど頑張るね。

なにげなく送った「風真」にドキドキしながらも大きくガッツポーズし、未送信ボックスのメールを空にした。


・・・あのときから好きだったのかな?
遥という大事な彼氏がいながらもドキドキして。
最低な女だね。・・・でも風真には本当にドキドキしてしまったんだ。
恋かどうかは分からなかったけど。
あのときはまだ。
 
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