ひかり
きっと、あたしの言葉で梓が変わろうとしたなんて嘘。
ただ、梓はあたしを止めたいだけ。
良心を持っている子だから・・・。





夜の8時頃家に帰った。
今日は早めの帰宅で麻那ちゃんが起きていたから話しかけた。
 「遥はどうなったの?」
とっさに遥が出てしまった。
麻那ちゃんはほんの少し笑顔になった。
 「順調だよ。死の危険性は無いって。回復の見込みも高いって。」
あたしも嬉しくなった。
遥がまたこの麻那ちゃんを明るくしてくれるんだって思ったら。
 「じゃあ遥はどこに住むの?」
嫌な記憶がよみがえる。
あたしと遥が恋をしたせいでバラバラになった家族。
かけがえのない家族を壊したあたし。
最低なあたし。
 「ここに住むよ。」
麻那ちゃんは少し悩んで答えた。
やっぱり・・・そういうことなんだね。
これをきっかけにあたしと遥は恋をやめなければいけないってこと。
お互い家族としていい関係を築いていくって事。
 「うん・・・。」
素直に受け入れてしまった。
遥と別れることに抵抗はなかった。
もう、麻那ちゃんたちに迷惑は掛けられない。
こんなあたしの恋のせいで家族をまたバラバラになんかできない。
遥じゃなくたって恋はできるから。
 「ごめんね夏恋。もう我慢できないよ・・・っ。」
麻那ちゃんの限界も知った。
あたしのことやっぱり憎んでいたよね。
ごめんなさい。
これからは絶対に家族を壊すようなことはしません。
恋心はもう捨てました。


そして今日からあたしと遥は家族になった。
かけがえのない家族・・・。
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