ひかり
可原と仲良くなってからは毎日が楽しくなった。
家にいること辛く思うより、学校が楽しいと思うほうが良いんだって気づいた。
 「夏恋ーっ!美羽って呼んでくれないの?」
あたしに抱きついてきた。
あたしを見上げながら。
 「呼んでも良いけど・・・。」
そっけなく言うと、可原は飛び上がって喜んだ。
無邪気。
子供みたい。
可愛いなあって思った。
 「美羽ね!美羽ね!美羽ね!」
何度も自分の名前を自分で呼んでいる。
あたしならできない。
「夏恋」って名前は汚いから。。


美羽の家に遊びに行くことになった。
「幸せな家庭」って感じなんだろうなあって勝手に予想立ててワクワクしていた。
美羽はいっつも幸せそうだし、あたしなんかと違って苦労のない生活をしているんだって思ってた。
 「レッツゴーッ!」
美羽が走っていった先はボロい家だらけの住宅地。
ここに美羽の家があるなんて思えない。
 「どこいくの?遠いの?」
あたしが聞くと美羽はどよんとした。
下を向いて少し涙目になった。
 「美羽のおうちボロアパートだから!見ても笑わないでよーっ?」
 「え・・・・?」
まさか。
あたしは美羽の言葉を疑った。
ふざけて言ってるだけだろうと思った。
そうだよ。
そうに違いない。
あたし以外に不幸な人がいちゃいけないんだから。
< 9 / 59 >

この作品をシェア

pagetop